【医療情報】五十肩は病期に応じた対症療法と原因療法があります

 
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運動療法・リハビリの効果が出ない理由、それは肩甲骨にあります

肩の動きのうち、三分の一は肩甲骨の動きに頼るものです。気をつけの姿勢からバンザイのまでの角度を180度としたら、60度は肩甲骨が動くことによるものです。裏返せば、いわゆる肩関節(肩甲上腕関節)のみでは人体の構造上120度しか動かないのです。

五十肩、四十肩、肩甲上腕リズム、コッドマンリズム コッドマネクササイズ 出典:ameblo.jp

そのため肩甲骨がきちんと動かなければ運動療法をしようにも、そもそもうまく動かすことができず、効果を期待できません。

リハビリにて肩を動かす運動を処方されても一向に変化がないか、動かしたくてもうまく動かない、あるいはある程度動くようになったが頭打ちとなったといった場合は、肩を動かす前段階として肩甲骨が動いていない可能性が高いです。

よって積極的に運動療法を行う拘縮期となる少し前から“肩甲骨の可動性”を確保するための鍼灸・マッサージは有効であり、併用して行うことで運動療法の効果を高めることにもつながり、結果的に根治までの期間を早めることにつながると考えられます。

五十肩、四十肩、凍結肩、按摩、マッサージ 出典:www.yogawiz.com

肩甲骨の可動性と共に重要なのが腕の骨(上腕骨)と肩甲骨を連結するいわゆる肩関節(肩甲上腕関節)を円滑に動かすために必要なことはインナーマッスルの活性化です。

インナーマッスルの「強化」ではなく「活性化」とした理由

多くの場合、筋力を高めるためにはトレーニング=筋肉に負荷をかけて縮ませることが第一選択肢となります。

しかし五十肩のように関節をあまり動かさない状態が続くと、関節だけではなく筋肉も硬くなり本来の「伸縮性」が失われてしまいます。ギュッと縮まってしまっている筋肉を、さらに負荷をかけて縮ませても効果は半減です。

筋力トレーニングの原則として、まず筋肉が適切に伸長する必要があります。伸長された筋肉が縮まる際に負荷をかけることで効果の出る適切な筋力トレーニングが可能となります。

このため、筋肉を「強化」する前段階として「活性化」が必要になります。

このような「活性化」、つまり硬くなって伸縮という正しい機能を失ってしまっている筋肉を回復させるために鍼灸・マッサージは有効といえます。

筋肉の正常な伸縮性を取り戻してからトレーニングすることにより、インナーマッスルトレーニングの効果を促進することが可能と考えられます。

リハビリ・運動療法がうまくいかない問題の本質

病院・クリニックのリハビリなどでアイロン体操(=コッドマンエクササイズ=ぶん回し体操)や棒体操などのストレッチなどを行うように指導され、一生懸命行っても一向に変化が出ないことが大半かもしれません。これまで述べてきた通り五十肩の治療でもっと大切なことは病期と痛みの原因の把握です。運動療法の効果がない、一向に良くならない場合は、そもそも「五十肩の病期とその処置」「痛みの原因とその処置」が合致していない可能性大です。

アイロン体操↓

棒体操↓

五十肩は放っておいてもいつかは痛みがおさまることが多いため、軽視されてきました。

昔ながらの治療方法も「五十肩・四十肩といえば〇〇」といったような古くから伝わる伝統的な方法がマニュアル的に行われているにすぎず、肩こり同様最終的に「年齢のせい」ということでうやむやになってしまっている、これが現実です。

五十肩が治らずに当院に駆け込んでいらっしゃる患者さんに経過を伺うと「リハビリに通ってもいつもの流れ作業の治療で、一向に病状が改善しない」とおっしゃられる方がとても多いです。

当記事で紹介した当院で行なっているような方法を実践している病院は・・・おそらく極めて少ないと思います。

一般的に3つの病期があると説明しましたが、実際はその3つの期間の把握もされないまま治療が行わるのは普通のことなのです。

残念ながら鍼自体を認めていない整形外科医・理学療法士は少なくありません。

鍼というとツボ・経路といった神秘的なもの、悪く言えば「うさんくさい」イメージです。実際のところ、そういう鍼が大半かもしれません。ですが、きちんと現代医学的根拠に基づいて行う鍼は様々な医療現場で活躍できると確信しています。

四十肩・五十肩の治療は難易度が高い上に時間がかかります

一言で「五十肩」といっても、本当の意味での五十肩は凍結肩(frozen shoulder)・癒着性関節包炎(adhesive capsulitis)、実際の五十肩の症状は、ほぼ肩関節痛+肩痛(筋肉痛)のセットです。

複雑な構造をしているが故に、症状そのものが複雑で、これらによって引き起こされる肩周辺の様々な痛み・症状まで全部含まれるため肩関節周囲炎が五十肩の保険病名になっています。

五十肩は治りますと自信持っていえるのですが、実際は簡単ではございません。

数回で根治してしまうケースもあれば、なかなかうまくいかないことも正直ございます。

とても難しいのですが、確実に当院で治った人数は日々増えています。

五十肩を治してしまうか、放置するか、この選択次第で人生は変わります

五十肩は放置しても発症して1年から2年で自然と治まります。きちんと治療を行えば、当院の理学療法データによれば、だいたい半年から1年で根治いたします。つまり治療を行えば放置した場合にくらべて約半分に期間を短く圧縮できます。

一時的な緩和方法だけして放置すれば、痛みは治まっても可動域は狭くなりますが、治療を行えば発症以前と同等の可動域を取り戻せます。

腕や肩が以前のように動かせなくなるのは想像以上に不便なことです。仮に85歳まで生きると仮定して、約半分の人生に影響があるとしたら、しっかりと治してしまったほうが生活が豊かになる・・・とまではさすがに言い切れませんが、少なくとも日々の悩みは減ります。

まずは医療機関で肩関節周囲炎(五十肩)という診断をもらいましょう。

本当の意味での五十肩、つまり凍結肩(frozen shoulder)・癒着性関節包炎(adhesive capsulitis)かどうかは、MRI検査が必要です。そこできちんと医師の診断をうけることは本当に大切です。

稀なケースとはいえ、骨や内臓の病気、または感染症等の可能性があるため必ずMRI検査を受診なさってください。

五十肩の問題を解決するプログラムは、肩関節周囲炎であるという医師による診断があってはじめてスタートします。

ここまでは鍼灸・マッサージをはじめとした徒手療法や運動療法などの保存療法について述べてまいりました。

稀にどうしても十分な改善効果が得られないケースがあります。

その場合、全身麻酔下による授動術(徒手的な関節包破断;マニピュレーション)・全身麻酔下による関節鏡下関節包解離術といった医療機関での治療が選択肢となります。

とはいえ、こうした治療は入院が必要であったり保険がきかず治療費が高額であったりと“最後の手段”とされているというのが現実です。このような中、最近では手術が必要とされる症例に対してサイレント・マニピュレーション(神経ブロック下授動術)という治療が行われています。

当院では、四十肩・五十肩の痛みをすぐにでもなんとかしたい方向けにサイレントマニピュレーションではなく「運動器カテーテル治療」を推奨しています。サイレント・マニピュレーションと運動器カテーテル治療については次の記事で紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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