筋膜リリースを解説します。

筋膜リリースとは筋膜をどうすることなのか?-肩こりを科学するkatakori LABS

正しい筋膜の知識を身につけ、筋膜リリースの本質を理解しましょう

筋膜きんまく)リリース筋膜きんまく)はがしといった言葉を目にする・耳にする機会が増えてきました。筋膜へのアプローチ自体は古くから実践されてますしはり)・マッサージの治療においては基本なので、新しいものではないのですが、ここ10年で一気に有名になりました。当院の患者さんからも「筋膜リリースをしてほしい」という要望をいただく機会は大変多いです。

肩こりの原因は筋膜にあり、筋膜のシワやたるみが問題である→筋肉をいくらほぐしても筋膜にシワやたるみがあれば肩こりは治らない、といった説明がテレビなどで紹介されネット上にも情報が拡散されています。また、それと同時に肩こりの原因は肩以外にあるという説明も多くなりました。

肩こりの原因は肩以外にある説は正しいです。ただし筋膜だけで全てが解決されません。肩こりの原因は筋肉ではなく筋膜であるという説明が多いのですが筋膜は筋肉の一部です。筋膜のみへのアプローチは根本的な解決にはなりません。筋膜と筋肉を分けるべきではありません。筋膜と筋肉はセットです。これはとても大切なポイントです。

日本語の筋膜という単語の定義は定まっていない

筋膜はラテン語のFasciaを日本語にしたものです。ファシィアまたはフェィシャと発音するこのラテン語の単語は、ドイツ語でいうbunde、すなわち物を包んだり結び合わせたりする帯を意味します。Fasciaは日本語でいう筋膜にとどまらず、内臓の膜・骨を覆っている骨膜・関節を連結している靭帯じんたい)や筋肉を骨とくっつけるけん)までも含まれます。筋肉に関する筋膜だけでも、筋内膜・筋周膜・筋外膜・筋上膜といった種類があります。これらも筋膜という一言で説明されてしまっています。

筋膜は魔法の言葉?

最近では四十肩・五十肩といった症状も筋膜に原因があるといった説明が目立つようになってきました。筋膜とよべる組織が多岐に渡りすぎているため、何から何まで筋膜という単語ひとつで説明されてしまっている、つまり間違ってはいないけど正確でもない。マスメディアで取り上げられることで誤解を与えていることだけは確かです。

今までと何も変わらないストレッチや体操もいつのまにか筋膜ストレッチ、筋膜体操といった名前に変わっています。筋膜は身体のあらゆる組織に存在しています。どんなストレッチでも運動でも筋膜は使われています。つまり何をするにしても筋膜へのアプローチはあるわけですから、嘘偽りではないのです。

Myofasciaは筋筋膜と訳されているのに、頭の筋がとれて筋膜リリースという言葉が広まってしまった

筋肉の筋膜を意味するmyofasciaという単語があり、日本語で筋筋膜といいます。myofasciamyoは筋肉のという接頭辞で筋肉の膜(fascia)ということです。「筋肉の筋膜」=「筋筋膜」、これがいわゆる筋膜を指す単語として正解・最適なのですが、筋筋膜は筋・筋膜となぜか分離された表記が少なくありません。筋肉と筋膜という並列の意味で説明している専門家もいらっしゃいます。

筋膜リリースという言葉はMyofascial releaseを日本語にしたものです。本来であれば筋筋膜リリースと訳されるべきだったのです。

このページでは筋肉を覆っている・包んでいる膜=筋筋膜(myofascia)を筋膜として解説していきます。

筋膜は古くからある人体解剖図に存在していない

残念ながら医学界では「筋膜」は無視されてきました。なぜ無視されてきてしまったのかといいますと、医学でもっとも重要なのは内臓・骨・筋肉といった“体の中身”だったからです。

人体の構造を学ぶ上での根幹は解剖です。筋膜は解剖の際に取っ払って捨てられてしまうものでした。

ですが人体についてはまだまだ解明されていない不明点が数え切れないほど多く、あまり注目されていなかった筋膜についての研究を進めてきた研究者たちがいました。その研究者たちのおかげで、近年、病気との関連が判明してきたのです。

これは鍼灸しんきゅう)マッサージ治療においても大変意義があります。鍼灸マッサージにおける筋膜へのアプローチは基本ではあるのですが、医学的な根拠・裏付けに欠けており経験則にしたがっている(これの最たるものが、当院では取り入れていませんが、いわゆるツボや経路といった考え方)部分が大きく、曖昧かつ確実でない情報をもとに行われているのが現実です。

はり)を刺す・打つ、といった行為は鍼灸マッサージ治療の基本です。鍼は鍼師と医師のみが打つことができます。この鍼を打つ目的のひとつが、硬くなった筋膜の緩和です。

鍼を打つと筋膜が緩和する仕組み

硬くなった筋膜に鍼を刺すことで一時的に筋膜を壊します。膜に傷がつくわけですから出血します。出血するということは、その部分の血流が増します。血流が増すと硬くなった部分が柔らかくなります(テレビ番組などで紹介され話題になった生理食塩水を注射して柔らかくする方法と根本原理は同じです)。壊れた筋膜は新たに作られますが、硬くなっていない正常な筋膜が作られます(リモデル)。もちろんそれだけではないのですが、筋膜含めて「筋肉」であり、筋肉の外側・内側問わず必要な箇所に打つのが鍼です。

筋膜リリースは新発見ではないし画期的な方法でもない

硬くなった筋膜へ鍼を打つ基本的な処置以外にも筋膜へのアプローチ方法は、いろいろな方法があります。それこそマッサージやストレッチにも当然ながら筋膜リリースは含まれています。つまりアプローチ自体は新発見でもなんでもありません。あくまで、今まで分かっていなかった筋膜の果たす役割・機能が医学的に新発見であって、筋膜リリース自体は新発見ではないことをご理解ください。

今までわからなかったことが分かってきたということは、鍼の有効性が医学的に意味づけされる・理論づけされて認められる可能性があり、今後の研究に大いに期待しています。

筋膜が注目を集めるようになった理由を理解するために必要な知識

筋膜は「第二の骨格」「ボディスーツ」といった表現をされます。それはそれで正しいのですが、実際は分かりやすいシンプルなものではありません。

浅筋膜はボディスーツ

このような皮膚みたいなイメージをお持ちの方は多いかもしれませんが、厳密には違います。たしかにこのように皮膚のように体全体を覆っている筋膜はあります。その体全体を覆っている筋膜は、「浅筋膜せんきんまく)」という名前の筋膜です。浅筋膜は皮下脂肪の中にあるので全身を覆っているといえるわけです。

人間の体は以下のように様々な筋肉があります。表から見えない部分にもたくさんの筋肉があります。

筋肉図

筋肉の数は膨大で、一つ一つ「○○筋」と名称があります。これらひとつひとつがそれぞれ膜で覆われています。これこそがメインとなる筋膜です。さらに、これらの筋肉同士も筋膜で連結されていたり、まとまったグループごとに筋膜で覆われ、そのグループ同士も連続性をもって繋がっています。浅筋膜ほどではないのですが、ある程度全身を包んでいるともいえます。

筋肉を包み込んでいる膜が筋膜と述べましたが、これを浅筋膜と分けるために深筋膜しんきんまく)と呼びます。深筋膜の捉え方・定義は実際はバラバラです。深筋膜を筋内膜・筋外膜・筋周膜・筋上膜と名前がついているものの総称として解説されていたりしますが、ここではひとつのまとまった筋肉を覆っている外側の膜(筋上膜とも呼ばれます)を深筋膜とします。

筋筋膜の構造図

上図は、二の腕部分の断面図になります。赤い筋肉の塊の境界線となっている白い部分が深筋膜です。この図では6つの筋肉の境界線のように見えますが、6つそれぞれを深筋膜が覆っていており、隣接していることを表しています。骨も骨膜で覆われています。骨膜と深筋膜も隣接しているわけです。

実はこの深筋膜、一枚の膜のように見えますが、体の部位によって構造が異なるのです。

浅筋膜と深筋膜の違い

薄いピンクの層が深筋膜です。一つ前の二の腕の断面図で白くなっていた部分のうち皮膚に近い部分では3層になっているのです。手や足の深筋膜は3層構造となっていますが、胴体の胸やお腹では1枚の膜になっています。このように深筋膜といっても場所によって構造が異なります。

水色の層が深筋膜同士の滑りに欠かせない潤滑剤の働きをします。ヒアルロン酸を多く含んでいます。筋膜同士が滑ることで筋肉の収縮ができるわけです。筋膜は滑るものという認識はとても大切なポイントです。

先に示した筋肉の図のように筋肉の数は膨大です。膜といえば分かりやすいですが、実際はそれぞれを包んでいる膜の構造も複雑です。深筋膜は、筋肉一つ一つを包んでいるものの、部位によっては構造が異なる上に、それぞれの膜同士も繋がっている箇所が多く、シンプルに構造を説明するのは困難です。ですから膜という一枚のペラっとしたものよりはfasciaの原義である帯・包むものの方がイメージに近いといえます。

解剖学上、存在していないことになっている筋連結

筋肉だけを示している人体図は、実は深筋膜がない状態の図なのです。あくまで筋肉本体をわかりやすく示しているにすぎません。

このように筋膜は実在はするものの、昔からある解剖学の教科書にはきちんと載っていないのです。筋肉と筋肉のつながりは、筋膜同士の繋がりです。その繋がり(筋連結)が明示どころか一切排除された筋肉だけの図が、皆さまが目にする筋肉図です。ですから、筋膜に関することは現時点では「医学的根拠がない」とされてしまうのは致し方ないことなのです。

これが筋膜が整形外科の世界で「シンデレラ」に例えられるような「新発見」とされる理由です。また、病院にいっても治らないとされる要因のひとつともいえるかもしれません。

「筋膜リリース」とは筋膜をどのようにすること?

筋膜についての説明がながくなりましたが、本題の筋膜リリースについてです。筋膜リリースとは筋膜を異常な状態から正常な状態に戻すための技術です。

リリースという言葉から「筋膜を解き放つ」「筋膜を離す」といった膜をはがすかのようなイメージをお持ちになるかもしれませんが、異常な状態にある筋膜を正常な状態に戻すために行うのが筋膜リリースです。

筋膜を整えるといっても、元の状態を確認できない

よれたり、ねじれたりしている状態にある筋膜を整えるという説明も多く目にしますが、冷静になって考えてみて下さい。

どうやって確認しますか?

すっきりした!楽になった!という感覚で「効いている」「筋膜リリースすごい」と思い込んでいませんか?

一般的な効果があるストレッチやマッサージ方法が、筋膜リリースという冠がつくだけで、特別な方法・画期的な方法ということになってしまっています。

そもそも、よれたりねじれたりしているとされる筋膜の状態自体を確認できません。確認するためには、エコーの技術が進んだとはいえ解剖しない限り筋膜の正確な状態はわかりません。

つまり現実問題、元の状態もよくなった状態も確認することは不可能なのです。

結合組織である筋膜の構造とは

筋膜は人体において「結合組織」に分類されます。結合組織の主な役割は、体の構造を支持すること、組織間の隙間を埋めること。筋膜は、筋肉と筋肉の連結・筋肉と骨の連結といった結合の主役なのです。筋肉を包み込むだけでなく配置を維持するために必要であることはイメージできるのではないでしょうか。

筋膜はメッシュ状の構造なのでセーターのようなものによく例えられます。ですが、セーターのような衣類の生地のように綺麗な均一なメッシュ状ではなく以下のような構造になっています。

筋膜はコラーゲンとエラスチンが主成分

一般的な筋膜リリースの解説で、綺麗な格子状が崩れる・捻れる、といった説明がなされますが、それはあくまで分かりやすさに特化したイメージにすぎません。

上記画像のように筋膜は、コラーゲン線維とエラスチン線維が複雑に絡み合った構造で線維芽細胞せんいがさいぼう)という細胞があります。線維芽細胞はコラーゲンなどを生み出す細胞です。コラーゲンはタンパク質で弾力をもっています。エラスチンもタンパク質でこちらは伸縮性があります。線維間はヒアルロン酸をたっぷり含んだ水分です。ですので膜という名前からサランラップのようなイメージを持たれるかもしれませんが、むしろ水分をたっぷり含んだ薄いシート状のスポンジとお考えください。女性が美容のためにお使いになるシートマスクに近いといえます。

ここで女性の方はお気付きの方もいらっしゃるかもしれません。筋膜の構造自体は皮膚の下にある真皮に近いのです。

筋膜が正常でない状態とはどんな状態?

筋膜が異常である場合、以下の3つの状態にあります。

  1. 潤滑剤(ヒアルロン酸)の凝縮化による膜間の滑走性不良→いわゆる「癒着」
  2. 細胞外基質中における糖タンパク質の脱水(ゲル化)と線維(コラーゲンとエラスチン)の高密度化による膜の圧縮→筋膜が硬くなる
  3. 組織損傷や慢性炎症、「癒着」と「硬化」の慢性化による膜の変性→筋膜が別の組織に変化(線維化)

このうち筋膜リリースによって改善が可能なのは「癒着」と「硬化」の2つです。硬くなった筋膜を柔らかくするのはイメージできることでしょう。一方、癒着ですが、“筋膜はがし”という言葉や“リリース”という言葉から一般の方が連想するのはおそらく癒着の改善でしょう。はがすというとベリべりっと剥がすイメージですが、筋膜は滑るものです。癒着の改善は、筋膜の滑りを良くすること、とご理解ください。

なお、線維化して別の組織に変性してしまったものは基本的には元には戻りません。

まとめますと以下の2つが筋膜リリースの主目的です。

筋膜リリースの目的

  •  潤滑剤を元に戻して膜同士の滑走性を取り戻す
  •  線維の高密度化と基質のゲル化を解消して膜の伸縮性・弾力性を取り戻す

これらを達成するのために「水分補給」と「温度を高める」必要があります。

潤滑剤を元に戻して膜同士の滑走性を取り戻すために温度を高めます。潤滑剤であるヒアルロン酸は温度が上がれば潤滑機能が高まります。お風呂上がりに体の柔軟性が増すのはこのためです。運動前に体をあたためる・ウォーミングアップの目的も同じです。

いくら筋膜の滑りをよくしても、膜自体が硬くなっていてはいけません。筋膜の柔軟性・弾力性を維持するためには水分が必要不可欠です。水分を補給するために、筋膜に水分を届ける血液の流れが重要です。血流を増すことが水分補給になるのです。血流が増すと体温は上昇します。

一般的な筋膜リリース方法

筋膜に対してアプローチする意味においては、ストレッチをはじめとする筋肉を使う動作はすべて筋膜に何かしらのアプローチがされています。筋膜リリースストレッチといった言葉も使われていますが、実際は昔からあるストレッチ方法と同じだったりします。

筋膜リリースの真髄は血流を改善して筋膜に潤いを取り戻すことです。

一般的な筋膜リリース方法は大きく分けて2つ。皮膚の上から刺激をする方法と針を刺して直接刺激をする方法です。

皮膚の上から刺激をする方法

メカニズム:筋膜に存在するセンサー(固有受容器)にはたらきかけて体性-自律神経反射によって副交感神経優位の状態に導き抹消の血流改善を期待します。昔から乾布摩擦が健康によいとされているのは、このためです。

手で押す方法

記録に残る限りでは今から40年以上前、1970年代から海外の治療家の技として行われており、オステオパシーの手技のひとつとして行われはじめたとされています。一般的に筋膜リリースではゆるやかな力で圧迫しながら患部を引き伸ばしていく方法が推奨されていますが、治療家によってもやり方は様々で、流派もたくさんあります。技自体は改良等を重ねて変化をしているものといえます。

器具でこする方法

20年程前にアメリカのアスリートが開発した方法です。その後にカイロプラクター、理学療法士、作業療法士、治療家、トレーナーらが改良し体系化されました。器具でこする手法は、IASTM(Instrument Assisted Soft Tissue Mobilization:器具補助軟部組織可動法)と呼ばれ、特徴的な形状をしたステンレス製の器具で皮膚をこすことで筋膜にアプローチをします。代表的なものにグラストン・テクニック(Graston ®)があります。

器具を使用する一番の理由は、行う側の手のケガを防ぐためです。驚かれるかもしれませんが、実は受ける側のためではないのです。ですから器具自体に特殊な効果効能が隠されているわけではありません。

器具をつかうメリットは患者さんよりも使用する側にあるのです。

あくまで器具は道具です。器具を使用することが筋膜リリースではありませんし、器具を使わなければ筋膜リリースができないわけではございません。

フォームローラーでコロコロする方法

筋膜リリースと聞くとまずはこの方法を想像する方は少なくないでしょう。主にはセルフケアやアスリートのウォーミングアップとして行われています。昨今では突起のついたものや振動するものなど様々な製品が出されています。IASTM同様グッズ自体が特別なわけではなく、どう扱うかが肝心です。

筋膜リリース専用といった商品がありますが、見た目他と何が違うの?と疑問に思われたのではないでしょうか?まさにその通りで何も違いはございません。

針を刺して直接刺激をする方法

針を使う方法には、注射で使う注射針と鍼灸で使う鍼の2種類の方法があります。

注射による生理食塩水を注入する方法

肩こりは筋膜のシワが原因とテレビで放送され、そのシワを取る・伸ばす方法として注目をあびたのが注射による生理食塩水の注入です。異常な状態にある筋膜は水分が不足しているため水分補給は理にかなっています。超音波診断装置(いわゆるエコー)にて筋膜の滑走性が低下しているところをみつけ、そこにダイレクトに生理食塩水を注入して水分補給します。さらに水圧で物理的に癒着状態にある部分をはがすため水分不足と癒着の問題を解決できます。患部に対して確実にアプローチができる方法です。注意点として、あくまで対症療法でしかないということ。症状が出るたびに行う必要があります。そしてエコー診断と注射の熟練した技術を要しますので、医師の技術力に大きく左右されます。注射をすることから、医療機関でのみ受診可能です(医療機関にもよりますが1本あたり数千円〜1万円ほどかかるようです)。

はり)をつかう方法

触診またはエコーガイド下にて異常部位をみつけ、そこに鍼治療を施します。鍼を刺した部分は軸索反射によって血流が改善します。 トリガーポイント(痛みの元となるポイント)と筋膜が異常となる部位はしばしば重なるため、トリガーポイント療法と筋膜リリースは混同されがちですが、厳密には異なるものです。トリガーポイント療法のひとつの手段として筋膜リリースという技があるといえるでしょう。

どの筋膜リリース方法でも一定の効果はあります

結論からいうと、どのようなやり方でも一定の効果をあげることは可能です。筋膜リリースは決まった手順、決まったやり方があるわけではないのです。例えば、マッサージにおいても「筋肉をほぐす」目的のために指圧もあればオイルを用いた方法があるようにアプローチの仕方はたくさんあります。それと同じです。

肩こり研究所で行う筋膜リリース方法

筋膜リリースはあくまで対症療法です。肩こり研究所で行なっている治療は根本治療です。根本治療とは対症療法と原因療法の組み合わせです。

筋膜リリース自体は、対症治療の一部として必要に応じて行っている処置にすぎないのですが、肩こり研究所の治療において筋膜に対して具体的にどのようなアプローチをしているのかについて焦点をしぼって解説します。

超音波治療器(US)

必要に応じて医療機器である超音波治療器を使用しています。超音波治療は、温熱効果と非温熱効果(超音波ultrasoundによる振動による微細なマッサージ効果)があります。超音波治療器を使う理由は、ホットパック、赤外線、入浴、灸では温度をあげることは困難な深部の加温と血流改善が可能なためです。

USの筋膜に対する作用

  • 加温による潤滑剤の軟化促進と滑走性の回復
  • 深部血流の改善による筋膜への水分補給。

パワープレート

スポーツジムだけでなく医療機関でも導入が進んでいるパワープレートを治療で使用しています。パワープレート上で体を動かすことで、平地で行うよりも短時間でウォーミングアップ効果を得られます。能動的な筋収縮運動により、体温上昇と血流改善を図ります。USはピンポイントで深部に対してアプローチできるのですが、パワープレートは全身に対してアプローチできます。治療内容に応じて使い分けています。

パワープレートの筋膜に対する作用

  • 体温上昇による潤滑剤の軟化促進と滑走性の回復
  • 全身血流の改善による筋膜への水分補給

IDマッサージ

IDマッサージはコリをほぐすだけでなく筋膜と筋肉両方のコンディションを改善し体のバランスを修正し、自律神経を整えて「体を変える」技術です。

具体的にどのようなマッサージかといいますと、人体に多数ある筋肉・筋膜を3次元の視点から個別にアプローチします。筋膜と筋肉は階層・重層構造となっているため、ひとつの部位を体位を変えながら様々な角度から刺激し、深部の筋膜・筋肉に対してもアプローチします。

IDマッサージは、マッサージと名前にありますが、単なる「もみほぐし」ではなく、筋膜に異常があれば筋膜リリースを、筋肉に異常があればマッサージを、関節可動域に異常があればストレッチや関節モビリゼーションを適宜行います。自律神経の乱れがあれば体性-自律神経反射を利用して自律神経にはたらきかけます。IDマッサージとは、肩こり研究所で行う按摩・指圧・オイルマッサージ・ストレッチ・関節モビリゼーション・筋膜リリースを組み合わせて行う技の総称です。ですから徒手による筋膜リリース(緩やかな圧迫と伸張与える手技)やIASTM(オイルやクリームなどの滑剤を用いて皮膚を摩擦する手技)の技術はIDマッサージの中に含まれています。

IDマッサージの筋膜に対する作用

  • 血流を改善し水分補給をすることで、高密度化した筋膜の柔軟性獲得と潤滑剤の滑走性回復
  • 物理的な伸長刺激を与えて、高密度化した部位の伸縮性改善
  • 線維化してしまった部位に微細な組織損傷を与えて組織のリモデリングを誘導(表層のみ可)

一般的なマッサージと肩こり研究所のIDマッサージは違うものです。筋膜リリースを、マッサージとストレッチの複合技・いいところ取りのように説明されることが多いようですが、そのような説明で意味するマッサージとIDマッサージの意味するマッサージは根本的に異なりますのでご留意ください。

IDマッサージの詳細

3D鍼

IDマッサージ同様、人体に多数ある重層・階層構造の筋肉・筋膜を3次元の視点から個別に鍼を使ってアプローチします。

3D鍼では、IDマッサージでも困難な深部の筋膜と筋肉に対してダイレクトかつピンポイントでアプローチします。手では届かない部分の血流改善、筋肉の弛緩、微細損傷によるリモデリング喚起の効果がある。自律神経の乱れがあれば、体性-自律神経反射を利用して自律神経にはたらきかけます。

ツボや経絡といった考え方ではなく、体の動きや反応、触感によって異常となっている筋膜・筋肉やトリガーポイントを見つけ、ピンポイントで鍼を打ちます。ですから必要に応じた本数を打ちます。

3D鍼による筋膜への作用

  • 血流を改善し水分補給をすることで、高密度化した筋膜の柔軟性獲得と潤滑剤の滑走性回復
  • 線維化してしまった部位に微細な組織損傷を与えて組織のリモデリングを誘導(表層から深層まで任意で可)

3D鍼の詳細

筋膜リリースでもっとも大切なこと

一般的な筋膜リリース方法と肩こり研究所における筋膜リリースに分けて説明してまいりましたが、共通する大切なことがあります。

それは、力加減です。

皮下脂肪内にある浅筋膜は結合組織の中でも強度の弱い疎性結合組織です。とても傷つきやすい繊細な組織です。傷がつけば炎症を起こします。痛みとして自覚がなかったとしてもです。炎症=痛みではございません!!繰り返しの炎症は、組織の線維化を招く可能性もあります。

深筋膜は外から強い力が加わった際には、筋肉など内部に収まる器官を守る働きがあります。人体は外部からの刺激に対して適応します。足の裏で常に体重のかかる部分は皮膚が分厚くなっていますよね。日頃のケアとして頻繁に強い力でゴリゴリやることは、筋膜自体を分厚く硬く変化させていってしまう可能性も否定できません。強いマッサージを受け続けることによって癖になってしまうようなものです。

筋膜リリースは筋膜の形状を変える手法ではありません。あくまでも筋膜リリースは筋膜の本来持っている機能を取り戻すための技術です。

デスクワークで何時間も座っていたとしてもお尻の形は変わりませんし、就寝時に長時間横になっても起きたら接地面が真っ平らになってしまうなんてことは起こりえません。

ボディスーツとしての防御力・剛性を備える筋膜は、皮膚の上からちょっとやそっと力を加えたところで形状を変化させることは困難です。ましてや異常となっている部分はさらに硬くなっている訳です。ですので、浅筋膜等の疎性結合組織以外は外から力を加えても形を変えることはできません。

解剖学・生理学の観点からいえば、初期段階の治療やセルフケアとして行う筋膜リリースは組織を傷つけないということを第一にソフトな力でやるべきです。痛い=効く、という間違った認識の方が多いため、力んで行いがちです。器具をつかってケアをする際はゴリゴリと深部に刺激をいれるのではなく、コロコロとやさしく皮膚に刺激をする気持ちで行いましょう。

強い力が必要な場合はありますが、高度な技術が要求されます

筋膜リリースは力加減が大切ですが、ソフトにやってもどうしようもない場合、機能異常が慢性化して形態の異常になってしまっている(線維化)状態ですと水分補給をしても回復しません。

これを治すには一度組織を破壊してリモデリングを期待するしか方法がありませんが、完全に治る可能性は高くありません。線維化により別の結合組織に変わってしまった場合はリモデリングがなされないためです。

リモデリングには鍼や注射がよいわけですが、徒手または器具を強い力で行うことが功を奏する可能性はあります。一度破壊するという目的は同じためです。ただしこれには専門的な知識と技術が必要です。炎症を起こさせるのでリスクもあります。闇雲にやるのはかえって状況を悪化させる可能性大です。セルフでうまく行うのは不可能に近いので、ソフトな力で行って思うような効果が得られない場合は必ず専門家に相談するようにしてください。

体を支えているのは筋肉です

人体を支えているものは?と聞かれたら骨という回答がほとんどだと思いますが、骨ではありません。骨だけで骨格をキープは不可能です。

家やビルは鉄骨や柱が支えていますから、人間でいうところの骨が支えているように思えますが、建造物と人間は根本的に異なります。最大の違いは、静止しているものと動くものという違いです。建造物は骨組みだけでも自立できますが生物は骨だけでは自立できません。恐竜の骨だけの展示物は、骨だけでは維持が不可能なので天井から吊るしたり下から支えたり見えないように金属のプレートのフレームを入れ込んだりと大変な技術が投入されています。

動物のカラダを支えているのは骨ではなく、骨を支えている筋肉、具体的には筋肉を覆っている筋膜たちです。これはとても重要なポイントです。骨の位置をコントロールしているのは筋膜ふくめ筋肉なのです。筋膜が第二の骨格と呼ばれるのは、このためです。

骨が歪んでいるから肩がこる、といった歪み矯正すればなんでも治る理論は無意味です。骨を整えても筋肉は整いません。筋肉を整えれば、骨に異常がない限り骨は整います。

骨と同様、内臓も単独では位置をキープできません。肺や肝臓・胃・腸といった内臓が体内で位置を保っているのは内臓を覆っている筋膜のおかげです。身体中に張り巡らされている筋膜は、それぞれがもつ張力(テンション)が互いに機能しあうことでカラダを支える構造になっています。この構造は建築で必要な構造力学と同じです。

肩こり研究所は筋肉のプロフェッショナルです

「筋肉」と聞くと赤身の肉の部分(筋線維)をイメージされることでしょう。

実際は、肉=筋線維の部分だけでなく神経、血管、筋膜で1セットです。筋線維・神経・血管・筋膜の4つで筋肉として機能します。これらはどれか一つでも欠けたら筋肉として働きません。

筋膜の中にも血管やリンパ管・神経が通っており、老廃物の排泄といった機能はもちろんのこと痛みのセンサーとしての役割があります。そのため筋肉の痛みは筋肉ではなく筋膜という説明をよく目にしますが、そういう分け方をしたら全て筋膜という単語だけで説明がついてしまいますので肩こり研究所では筋膜と筋肉は分けて考えておりません。なぜかといいますと、筋繊維一本一本を覆っているのも筋内膜という筋膜であり、筋繊維の束を覆っているのは筋周膜という筋膜です。さらにそれら全体を包んでいるのが、当ページでメインとしてあつかっている深筋膜です。あくまでも筋肉の外側・内側にあるのが筋膜です。

お店にならんでいる精肉や解剖書の筋肉をみると肉(筋線維)の部分しか見ることができませんが、これらは神経、血管、深筋膜をきれいに取り除いている状態なのです。

筋肉の治療のためには、「肉=筋線維」の部分だけでなく、神経・血管・筋膜へのアプローチが必要不可欠です。

肩こり研究所では神経・血管・筋膜・筋線維をひとつの単位とし、それを「筋肉」と考えています。肩こり研究所は筋肉の治療院です。

筋膜リリースを行う治療

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