肩こりを科学するブログ

肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学に基づいた見解)

肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学に基づいた見解)

首こりと肩こりは同じようなものとして認識されることが多いです。医学的には、肩こりとは首こりを意味すると説明する医師もいらっしゃいます。

肩こりの原因が、首の筋肉である場合が非常に多いのは事実です。ですから首こりと肩こりが混同されるのは、仕方ありません。

結論から申し上げます。

肩こりと首こりには大きな違いがあります。

首こりと肩こりは違います。

肩こりが昔から人々を悩ませてきました。これは日本人の文化・習慣による影響もあります。

肩こりは治らないもの、仕方のないこと、が常識となっているのは、治すことができる人がいなかったからだと私は思います。どこにいっても治らない症状だからこそ、癒やし産業のターゲットになっており、いまやコンビニの数よりもマッサージ・整体のお店の方が多いという異常な状況です。

肩こりと首こりを混同する医師は少なくないという現実

医療の専門家(整形外科医)が、肩こりとは首こりであるとしている点も肩こりが治らない状況を作り出している理由のひとつだと思います。

そもそも、肩こり・首こりで悩まれている方で、病院を探す人はごく僅かでしょう。痛みがある場合でも、湿布や塗り薬に頼る人がほとんど。最初から、肩こりを治す・治療する、という発想がないのです。

そして、四十肩・五十肩といった肩関節周囲炎にも言えることですが病院では「原因が分かりません」「痛みの原因はたぶん○○」と曖昧な回答をされた経験をお持ちの方は多いでしょう。様子をみましょうということで、症状の緩和のための痛み止めの薬・ブロック注射をされるというのが、典型的なパターンです。当然、これでは治るわけありませんよね。

首こりと肩こりは違います!!

本題に戻ります。

肩こりと首こりの違いを、筋肉の部位が違うからと説明しているところもございますが、そういうことではありません。首の筋肉が原因で肩が凝る、それは首こりではなく肩こりです。

このようなツラい症状を感じる場所で、首こりと肩こりと言葉を分けるのが適切です。場所が違う以外に違いがあるのかといいますと、肩こりと首こりに明確な違いがあります。肩こりと首こりの決定的な違い、それは神経症状として出るか出ないかです。

①首こりによる感覚神経の症状

首にはたくさんの神経が集中しています。

誰もが経験する頭痛。この頭痛は首と関係しているケースが多く「緊張性頭痛」という言葉はご存じの方も多いのではないでしょうか?

緊張性頭痛とは?

頭部の感覚は、大後頭神経、大耳介神経、小耳介神経等といった神経が感じます。これらの頭部の感覚を担う神経は、首の骨の内側にある脊髄から出ているのです。 首がこると首の神経を圧迫し、後頭部・側頭部・頭頂部の痛みを誘発します。これがいわゆる緊張性頭痛です。(もちろん後頭筋や側頭筋などといった頭部の筋肉のコリが直接神経を圧迫する場合もあります。)

頭だけでなく肩・腕の神経の問題も首がポイント

肩~腕~手の動きや感覚を担う神経、および血管も首に由来します。神経は頚椎から出るのでイメージがつきやすいのですが「心臓から出た血管が腕に行く前になぜ首へ?」と疑問をもたれる方は少なくありません。解剖学を紐解くことで、その疑問は解決します。

心臓をスタートとする血管は一度鎖骨の高さまで上に上ってからまた腕の方へ降ります。その首の前側の鎖骨近辺で、首の筋肉である斜角筋を貫くため、首こりによってシビレや血流障害による冷えなどが生じます。正確には斜角筋はその位置によって前・中・後の三つに分かれ、前と中の間を斜角筋隙といい狭い隙間があり、その間を神経(腕神経叢=腕を支配する神経群)と血管(鎖骨下動脈・鎖骨下静脈)が通るために、首こりで斜角筋が硬くなると圧迫するのです。しかし、これらはレントゲンに写りません。ですから病院でレントゲン検査をしても異常なし、となります。肩こり・首こりの重症の方が、腕や肩甲骨周囲に放散する不快な症状を自覚して、病院で検査しても異常なしとされ、病院で原因不明とされるのは、これが理由です。例えば不快な症状のひとつに手の冷えを感じるケースがあります。これは、血液の通路である血管がコリにより元詮をされている状態なので、末端を温めても温めても改善ません。病名として胸郭出口症候群の一つともいえますが、胸郭出口症候群を起こす原因は、肩こり・首こりだけではありません。

胸郭出口症候群かも?と思われたら・・・

胸郭出口症候群が疑わしい場合は、まずは整形外科にて骨や内臓の問題(特に頚椎の状態ですね)をチェックしていただき、異常がないという事が確認されてから治療を開始する事をご推奨いたします。というのも、シビレや冷えなどは神経系・循環器系の病気が隠れている可能性があるため、軽視はできないからです。

特に目立った異常が見当たらない、という事であれば胸郭出口症候群として治療を開始することになるのですが、胸郭出口症候群の治療は単にマッサージや鍼灸、電気・温熱療法を行えば治るかというとそうではありません。これがけっこう複雑で患部だけへの治療ではその時はよくても改善には向かわないのです。

もちろん、まずは緊張が高まっている斜角筋を中心とした首の筋肉を弛める必要があります。筋肉を緩めた後、首に負担のかからないようにする筋力強化が必要となります。 胸郭出口症候群になりやすいのは、痩せ形・なで肩の女性が多いです。そのためその多くは筋力が弱いがために首周囲へ負担が強いられてしまうという背景があることが多いです。つまり筋肉を弛めたあとに筋力強化が必要なのです。さらに、その筋力強化は単にダンベルや重りをもって筋肉を肥大させる運動ではなく、体を効率よく負担がするないように動かすことができるようにインナーマッスル(深部の筋肉)であったり、体幹とよばれる胴体部分の筋肉を活性化させる必要があります。「活性化」と表現したのは、単に筋肉をつけて「マッチョ」になることが良いのではなく、あくまでも負担なく合理的に体を動かす事ができるようになるのが目的なので一概に筋力トレーニングといってもその中身が全く異なるからです。女性でいうと痩せすぎていない「健康美」、男性でいうと「細マッチョ」と呼ばれる状態をイメージ→デザインして、体造りを行います。繰り返しとなりますが、治療としての意味での筋力強化に、重量物を歯を喰いしばって持ち上げるようなハードなトレーニングは必要ございません。

胸郭出口症候群になりやすい方を上記であげましたが、あくまでそれは「教科書的になりやすいといわれている例」にすぎません。実際にはデスクワーク中心の男性にも多く見られます。たとえ体重が多くても、筋肉量が多いとは限りませんので個人的には発症しやすい例として「痩せ形」と表現する事に疑問をもっている次第でございます。話が少しそれましたが、そのため「首肩こり」「(常にではないけどたまに)手にがしびれる」「手が冷えやすい」という事に心当たりがある方は、本当に症状が重篤になる前に一度整形外科にて診ていただき、MRIやCTといった検査を受けてください。ヘルニアや頚椎症の可能性があります。ヘルニアというと腰のイメージが強いですが、腰も首も背骨という意味では同じです。首のヘルニアは、頚椎椎間板ヘルニアといいます。

整形外科での検査で異常が無いようでしたら、整形外科での治療の範疇ではないということになります。問題は、骨ではなく筋肉です。是非、軽症のうちに治してしまいましょう。胸郭出口症候群の治療には、西洋医学的な解剖学に則って筋肉と動作に対しても治療が必要となりますので、基本的には肩こり・首こりを治すと同義とお考えいただいて良いです。

「整形外科に行ったあとどこに行けばわからない方」は、乱文でございますがこちらを参考にしていただけましたらと思います→→『どこに行けば肩こり、腰痛は治るの?治療院を選ぶ基準が分からない!!という疑問に答えます!!

②首こりによる自律神経の症状

首には上神経節・中神経節、星状神経節という自律神経(交感神経)のツボのような要所が存在します。

これらが首こりによって、圧迫刺激されることによりバランスを乱し、偏頭痛や吐き気、めまい、睡眠障害といった自律神経失調症状が引き起こされます。

この神経のツボ(交感神経節)は左右一対あり、数珠のように首から腰まで背骨の際を一つながりになり、交感神経幹という組織を形成します。そのため、それらが不調となると肩甲骨や背中の不快感にもつながります。

さらには自律神経への影響として血圧の変動といった循環器領域や各内臓機能も不安定となり、イライラや情緒不安定などの精神症状にもつながります。

また、迷走神経という副交感神経も脳から出て首の筋肉間を通って内臓へと下降していくため首こりにより不要な刺激を受けることでバランスを乱し、内臓諸機関の機能を乱します。

首肩こりと自律神経の関係を調べていくと、自律神経が乱れるという所までは同じだがつきつめると交感神経に着目してる説、と副交感神経に着目している説がありとてもわかりにくいと思います。つきつめて調べていらっしゃる方の中には「いったいどっちなんだよ!!!!」と混乱している方も少ないないと思います。実はこれらは表裏一体でシーソーのように均衡を保っており、一概にどちらか一方のみといういいきれないというのが実情なのです。首肩こりにお悩みの方は元々精神的ストレスを抱えていらっしゃる方もいますし、首肩がつらくてストレスとなってしまっている方もいます。天候など気圧の影響を受けやすい方も自律神経は乱れやすい体質といえます。このような方々は自律神経のシーソーのバランスがとりにくく、片方へ傾いたら戻れなくなってしまったり、戻ろうとしたら戻りすぎてかえって反対に傾いてしまったりとしてしまうわけです。これがいわゆる「自律神経が乱れた状態」となります。つまり、自律神経を考える場合、対をなす交感神経と副交感神経がどちらか一方が働いてもう一方が働かなくなるいうように絶対的に変化するのではなく、あくまでも相対的なものなのであるとう事を頭にいれていただきまして、どちらか一方に着目するのではなく、ある事象が起きることによって双方に影響が出る事があり、それは個人差があるという事をご理解いただきたいと存じます。そのため当記事でも首こりによって交感神経・副交感神経療法への影響をご紹介させていただきました。

このように首こりは悪化・長期化すると自律神経系の異常をきたし全身症状へと移行していきます。 (交感神経と副交感神経を合わせて自律神経といいます)

肩こりは主にその局所のつらさに留まる一方、首こりは高い頻度で全身症状へ移行してしまうため、首こりのほうがつらいと感じる方が多い傾向にあるようです。

病状は

  • 肩こりから首こりに移行するパターン
  • 首こりの症状として肩こりを感じるパターン

がありますので見極めが大切です。

(A)は放置すると首こりへ移行してしまう可能性があるため、悪化しないためのケアを行うか、この時点で治してしまえば問題ありません。

(B)はのんびりしているとどんどん悪化していってしまうので早急に集中的な対処を推奨します。

これは多くの肩こり・首こりの患者さんを診てきた治療家としての経験的なものですが、「施術をしてもすぐに元通り」という方は首こりが原因の方が多いようです。

「首こり」と「肩こり」は似て非なるもの、この見極めはとても重要です。

肩こり・首こりと聞くと気軽に感じるかもしれませんが、それらは体からの悲鳴です。肩こりや首こりを治すということは、つらい症状を引き起こしている原因をひとつひとつ解決することです。つらい部分の症状を緩和しても再発するだけで、薬、お店、病院に通い続けることになるだけです。時間やお金がかかるだけでなく、厄介なことに徐々に悪化していきます。

ですから肩や首の凝りの治療をお受けになる際には、しっかりと見極めをしていただき、最適な対処を受けていただきたいと思います。そのためには、治療院選びがとても重要になります。

どこに行けば肩こりは治るの?

治療を行なう人は、患者さんに対して、まずはご自身の体が”どのような状態”で”何が起こっているのか”を知っていただく、理解してもらうように分かりやすく説明する義務があると思います。そして、患者さんも、説明をスムーズに理解するために、ただしい知識を身につけておくと、よりよい治療が受けられることでしょう。

重要なことですので、繰り返し申し上げますが、肩こり・首こり・腰痛の治療でもっとも大切なことは、症状の見極め、原因の究明です。これを間違えると、どんなによい腕を持った医師・治療家でも治すことはできません。

マッサージ業界では、ゴッドハンドと呼ばれる(自称?)人がもてはやされますが、つらい症状を緩和するだけなら、ある意味誰でもできるといえます。症状の緩和は、治療そのものではございません。治療を行なう上で最初に行なうことですが、むしろ治療の前段階にあたるものです。

本当の意味で腕のいい治療家というのは、つらい症状の原因を正確に把握して、その人その人にあった適切な治療ができる人です。

こちらにさらに詳しく書きました →→ 首こり・自律神経失調症・精神的不調の関係性(肩こりと首こりでは、なぜ首こりの方がつらいのか)

以下の記事では医学的根拠に基づき肩こり・首こりについて解説しています。

鍼灸マッサージ治療の裏事情(1) 硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

鍼灸マッサージ治療の裏事情(2) 首ポキ解消法の真相 脳血管障害・死亡率との関連性

鍼灸マッサージ治療の裏事情(3) 血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

by
katakoriLabs

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