肩こりを科学するブログ

肩甲骨ダイエットの嘘・ホント 褐色脂肪を増やす!褐色脂肪細胞活性化して痩せる説は間違いです。

肩甲骨ダイエットの嘘・ホント 褐色脂肪を増やす!褐色脂肪細胞活性化して痩せる説は間違いです。

当記事は、肩甲骨ダイエットの嘘と題しまして、以下の3点についての解説記事です。

  • 絶大なダイエット効果があるとされている肩甲骨周辺の褐色脂肪細胞についての情報の間違っている点
  • 肩甲骨ダイエットとされる運動の本当の効果はダイエットではないということ
  • 肩甲骨エクササイズ・肩甲骨ストレッチで肩甲骨を動かすことはとても大切である!!

肩甲骨といえば肩甲骨はがし。多くの方が好まれる、興味をお持ちと思われる「肩甲骨はがし」についても、きちんと解説しております(肩甲骨はがし自体は非常に効果的です!!)。

ダイエットに興味お持ちの方にはとても意味のある内容だと自負しております。特に褐色脂肪細胞とは異なる「ベージュ脂肪細胞」についての内容は是非知っていただきたいポイントです。

脂肪のイメージ=体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪、贅肉

脂肪って何色ですか?

ほとんどの方が白と答えると思います。

脂肪というと、体脂肪、とくに皮下脂肪、贅肉をイメージする方が大半でしょう。これらは、白色脂肪細胞と呼ばれています。そのまんまの名称ですね。

太る=脂肪がつく・・・痩せたい人にとって脂肪は天敵のようなものです。しかし、脂肪がエネルギー源として必要である、体を守る役割もある、ということは、いくら天敵とはいえ、納得されていることでしょう。

女性にとって、ダイエットという言葉は常に頭の片隅にあるもの。コレを食べれば痩せる、こんな簡単な運動でらくらく減量、といった耳障り のよい言葉の誘惑は強烈です。

最近、肩甲骨ダイエットが話題です。首・肩の治療において肩甲骨は本当に大切なので、肩甲骨に注目が集まること自体は肩こりの治療家として喜ばしいことなのですが、ダイエットとセットになると話は大分変わってきます。

このブログをたまたま読まれた方にだけでも、肩甲骨ダイエットに関して正しい情報をお伝えしたいと思います。

肩甲骨ダイエットは本当に痩せるの?褐色脂肪細胞を刺激すると脂肪燃焼するの?

まず、結論から申し上げます。

肩甲骨ダイエットによる痩身は不可能ですが、肩甲骨を動かす運動によって体のラインを美しくすることは可能です。そして、肩甲骨の刺激による褐色脂肪細胞の活性化は確認されておりません!!残念ながら、専門家でも一部の方は間違った情報を発信しています

肩甲骨ダイエットとは、肩甲骨付近の筋肉を動かす運動やストレッチを行うことで肩甲骨付近に多く分布しているとされる褐色脂肪細胞を刺激し、脂肪の燃焼を促進させる→痩せる、というものです。

キーワードは褐色脂肪細胞です。この褐色脂肪細胞は、雑誌やテレビでも度々取り上げられてますので、耳にしたことある方は多いかもしれません。

褐色脂肪細胞は増やすことはできません。年齢と共に減っていく脂肪です。

褐色脂肪細胞がなぜ注目されるようになったのでしょうか?

まず、脂肪には2種類あるとされています。誰もが脂肪ときいて思い浮かべる白い脂肪と、茶色い脂肪です。この茶色い脂肪は褐色脂肪(組織)といい英語でBAT(Brown adipose tissue)、白色のいわゆる脂肪はWAT(White adipose tissue)または普通にwhite fatといいます。皮下脂肪・内臓脂肪などは主にWATです。

脂肪を燃やすためには・・・運動が一番です。運動するため、生きていくためのエネルギー源として脂肪は必要です。脂肪が燃焼するためには、脳からの指令で交感神経末端からノルアドレナリンが分泌される必要があります。ノルアドレナリンによって脂肪がまず分解されます。分解されたあとにエネルギーとして使われるのです。ノルアドレナリンが分泌されるためにもっとも効果的なのが運動なのです。必要以上に脂肪をとって、ノルアドレナリンが分泌されることが少なければ、脂肪は蓄えられていきます。それが行き過ぎると肥満となるわけです。

ところが、運動せず何も食べず眠り続けているのに脂肪を燃焼することができる動物がいます。冬眠する動物です。残念ながら人間は冬眠はできませんが、1日の大半を寝て過ごす赤ちゃんは冬眠する動物と似ているともいえます。

この冬眠する動物や赤ちゃんが生きるためにどうやってエネルギーを生み出しているのか?運動せずにどうやって熱を発生させているのか?という疑問に対する答えが「褐色脂肪細胞の存在」です。

褐色脂肪細胞の発見は、筋肉なのか脂肪なのか分からない謎の組織の発見から

スイスの博物学者であったコンラート・ゲスナーが1551年に著書『動物誌Historia Animalium』においてマーモットの背中に脂肪とも肉とも異なる中間的な組織が存在するとの観察を記載したのが褐色脂肪細胞の存在を最初に示唆したものとされています。

marmot2

マーモットは、リスの一種で冬は冬眠します。冬眠する動物って、なんで死なないの?という子供の頃誰もがもつ疑問だと思いますが、その答えが、この筋肉でもあり脂肪でもあるとされた褐色脂肪細胞だったのです。

そして、筋肉のような働きはするものの、脂肪である、として数百年という長い間扱われてきたのです。人間の褐色脂肪細胞の研究が活発化したのは1970年代からです。

冬眠する動物や人間の赤ちゃんの体内には褐色脂肪が多く存在

冬眠する動物や人間の赤ちゃんの体内には褐色脂肪が多く存在しています。

褐色脂肪細胞は、ミトコンドリアを多く含んでいるため褐色にみえます。このミトコンドリアはエネルギーを利用して熱を作り出す細胞なのです。褐色脂肪細胞は、白い脂肪と違って、ノルアドレナリンの刺激によって熱を生み出すのです。それも褐色脂肪細胞は、なんと筋肉の何十倍もの熱を作るのです。

さらに褐色脂肪細胞(BAT)は、熱を生み出すだけでなく、白い脂肪(WAT)の燃焼も手伝います。これは事実です。

そこで、褐色脂肪細胞をうまく利用すれば、簡単に痩せることができるのではないか?と誰もが考えるわけです。残念ながら、この褐色脂肪、赤ちゃんには豊富にあるのですが年齢とともに減少していくのです。楽してダイエットしたいと考える年齢の時には、有効活用は無意味なくらいの量しか残っていないのです。

褐色脂肪細胞の間違った情報をうまく利用するダイエット業界

褐色脂肪がダイエットには使えないというのが専門家の中では一般的だったのですが、2007年に転機が訪れます。「Developmental Origin of Fat: Tracking Obesity to Its Source」(Volume 131, Issue 2, p242–256, 19 October 2007)という論文が医学専門誌「Cell」に掲載されたのです。

この論文の内容はともかく、褐色脂肪を刺激すれば簡単に痩せることができる!!医学的に証明されている!!という非常にキャッチーなフレーズだけがメディアを賑わすことになってしまいました。そもそも褐色脂肪は大人の体内には少ないのにもかかわらずです。

後ほど詳しく解説しますが、褐色脂肪細胞は加齢と共に減っていくものです。増やす方法があれば人間にとって素晴らしいことではありますが、残念ながらそんな夢のような方法はございません。年齢と共に減っていくもの、それを、刺激して痩せる、ということ自体がナンセンスなのです。

近年研究が進み褐色脂肪細胞について多くのことが分かってきました。しかし、まだまだ不明な点が多く、ダイエット業界に都合よく利用されている現状です。

専門用語には、なんだかよくわからないけれども、そうなんだ!!と信じこませるパワーがあります。恥ずかしながら、私も自分の専門分野以外では、専門用語を何となく雰囲気で理解していたり、説明できないのに使っていたりします。無意識でそうなってしまっています。しかし、今回は専門分野。使命感、義務感を感じています。

ネット上、雑誌、テレビなどで取り上げられている褐色脂肪細胞は凄い、という情報で、間違っている情報と現在わかっている正しい情報をしっかりとお伝えしたいと思います。

ダイエット、褐色脂肪細胞に興味お持ちの方に、なるほど!!そういうことだったのか、と思っていただけるような内容だと自負しておりますので、長い記事で恐縮ですが、お付き合いいただければ幸いです。

褐色脂肪細胞の機能とは体温の調整であって脂肪燃焼は体温調整のために行うこと

褐色脂肪細胞は筋肉のような働きをすると述べました。これは、発熱する、脂肪の燃焼を促すという機能を意味します。一言で分かりやすくいうならば、体温を調節する機能です。体温が低下すれば体は機能しなくなり死に至ります。体を守るためにある大切な脂肪細胞です。ですから冬眠する動物が多く有しているのです。人間の場合ですと、生まれたての赤ちゃんは褐色脂肪細胞によって守られています。褐色脂肪細胞は、新生児の体重の数%も占めるのです!!

赤ちゃんの体の分布する褐色脂肪細胞

褐色脂肪細胞が活発に機能するのは生命の危険にさらされた時

褐色脂肪細胞には体温を調節する機能があります。これが赤ちゃんに褐色脂肪が多い理由です。赤ちゃん、特に新生児の場合、体温の維持は最重要事項のひとつ。体温の調節、体の機能を維持するために褐色脂肪細胞が新生児の体を守っているわけです。

大人の場合、例えば極寒の中遭難した場合、生命を維持するために褐色脂肪細胞は活発に機能します。では、そうでない通常の生活において、褐色脂肪細胞を刺激するとどうなるのか・・・食事の際に、よく噛んで味わうことで刺激される、辛い食べ物で活性化されるという説もありますが、刺激する方法が研究段階です。

褐色脂肪が多いとされる鎖骨・肩甲骨・椎骨を冷やしてダイエット?

肩甲骨ダイエットの解説に書かれているような外部からの刺激で活性化されるというデータもありませんし、医学的な根拠は確認されておりません。成人で褐色脂肪細胞の活性化が確認されたのは、体温の低下によるものです(2009年に発見)。

そのため、褐色脂肪がある部分を冷やして楽々ダイエットも当然のように出てくるわけです。痛みを抑えるために冷却することは応急処置として必要なことは多々ありますが、基本的には体を冷やすことはよくありません。ダイエットのために、無理に冷やすのは避けるべきです。特に首は気をつけて下さい。

褐色脂肪細胞は不明なことが多いのですが、少なくとも体温調節機能を有していることは明確な事実です。これだけは間違いありません。

褐色脂肪細胞は年齢と共に減少します。そして男女差があります。

褐色脂肪細胞は幼児期までは沢山ありますが、その後加齢と共に徐々に減少していくことは昔から知られていました。しかし、新しい研究によると、男女で減り方に差があることが分かりました。注目べきは男性の40代以降の急激な減少です。

ですので、いわゆる中年太りと関係あるのでは?とも言われています。はっきり言えることは中年以降の男性には褐色細胞によるダイエット効果はほぼ期待できないということです。しかし女性の褐色細胞は加齢とともに減少するとはいえ割りと残っています。そこで褐色脂肪細胞を増やす、活性化すれば、肥満解消になるのでは・・・・?という点をついているのが褐色脂肪細胞によるダイエット効果なのですが、残念ながら現時点で褐色脂肪の働きを回復させる方法は開発されておりません。

ここで、ちょっと考えてみてください。

褐色脂肪細胞は、大人にはほとんど残っていないとされていましたが、女性には結構残っていることが最近の研究で明らかにはなりました。しかし、その量はせいぜい数十グラムでしかありません。少ない上に人体から取り出すのも困難です。2012年にiPS細胞から褐色脂肪細胞の作成に成功したことが話題になりました。年齢と共に減っていく、機能はわかっているけど体温の低下といった危機的状況以外での活性化の方法が不明。こういった現実とiPS細胞から作成ということを合わせて考えてみてください。未だに未知の存在であるといってしまってもよいのかもしれません。それなのに、ダイエット効果がある、なんてそもそも言えるわけがないのです。そして、褐色脂肪細胞を増やす、活性化させることで期待できるのは糖尿病の治療への活用でしょう。

しかし、「褐色脂肪細胞が増えるって聞いたけど・・・」「肩甲骨を刺激すれば褐色脂肪細胞が活性化するって読んだんだけど・・・」「テレビで専門家が解説していたけど」という方は非常に多いと思います。残念ながら、それは間違いです。

ですが、安心してください。運動で活性化される脂肪細胞は・・・あります!!

ただし、肩甲骨を動かすことによるものではなく、一般論です。

そして、その脂肪細胞は褐色脂肪細胞ではありません

脂肪は、白色と褐色の2種類ではないのです。もう1種類あるのです。これが非常に重要なポイントです。

褐色脂肪細胞と似た脂肪細胞の存在と、褐色脂肪細胞が実は筋肉と兄弟であるという新発見

古くから脂肪細胞には白色と褐色の2種類あるというのが定説でした。そして、生まれたての子供には多く存在するが、成人ではほとんど残っていないとされてきました。先の褐色脂肪細胞の説明でも近年分かったことを述べているように、分からないこと、説明がつかないことがたくさんあります。

2008年に白色脂肪細胞から「褐色脂肪細胞のような脂肪細胞」に変化するという研究結果が発表されました。ポイントは、褐色脂肪細胞と似ているのだけど発生するプロセスが異なるため、果たして同じなのか?という点でした。

さらに、褐色脂肪細胞は筋肉にもなることができる共通の幹細胞から造られるということもわかったのです。機能としては筋肉と類似しておりますが、それだけではなくルーツも同じだったのです。1551年のコンラート・ゲスナーの推測が正しかったわけです!!

つまり、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞は色味は異なるものの見た目は類似しているにもかかわらず、まったく異なる起源と働きを持つ細胞であること、そして、その発生過程がそもそも異なっていたという事なのですね。肉眼上類似している事から脂肪細胞と名称がつけられていますが、中身は全く異なるものだと認識する必要があります。

2008年の褐色脂肪細胞に関する研究発表

では、この褐色脂肪細胞みたいな脂肪細胞は何なのでしょうか?発生プロセスが異なっていますが、構造は似ています。はたして同じ褐色脂肪細胞なのか?という新たな課題が生まれたのです。

PRDM16 controls a brown fat/skeletal muscle switchNature 454, 961-967

[参考URL]  http://shinka3.exblog.jp/9516298/

褐色脂肪細胞とは異なる「ベージュ脂肪細胞」の発見

2012年に転機が訪れました。ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所のBruce Spiegelman博士の研究チームによって褐色脂肪細胞みたいな脂肪細胞が白色、褐色に続く第3の脂肪細胞「ベージュ脂肪細胞」として存在が明示され、医学専門誌「Cell」で発表されたのです。

[参考文献] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22796012

褐色脂肪細胞には2種類ありその違いに関する表

ベージュ脂肪細胞は褐色脂肪細胞のそっくりさんのようなものですが、発生が異なる上に働き自体も若干異なります。

褐色脂肪細胞は体の体温の低下を防ぐ機能がありますが、ベージュ脂肪細胞の場合、体温より低い27~33度の冷気をあてたら活性化します。しかし、この条件では褐色脂肪細胞は活性化はしないのです。褐色脂肪細胞は、もっと緊急事態でなければ働かないのか、または別のプロセスが必要なようです。脳からの緊急自体の指令が必要なのかもしれません。ここらへんはまだ研究段階です。

[参考文献]  http://www.pnas.org/content/early/2013/06/26/1310261110.abstract

そして、ベージュ脂肪細胞は、運動によって、白色脂肪細胞が変化するということがわかりました。この変化を促すのがイリシンというホルモンです。これもベージュ脂肪細胞の存在の研究発表の中で示され、新しいホルモンとして名付けられたものです。ホルモンは脳や臓器から分泌されると思われておりますが、筋肉からも分泌されるのです。ですので、最近では、運動ホルモン、筋肉ホルモンとも呼ばれています。このイリシンは、運動によって分泌され、白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変化させる因子の1つなのです。

ベージュ脂肪細胞の生成には、他のプロセスの報告もあります。今後どんどん解明されていくことでしょう。

[参考文献] http://www.joslin.org/news/study-shows-exercise-creates-good-fat.html

つまり、ベージュ脂肪細胞を増やせばダイエット効果が期待できますが、あくまでベージュ脂肪細胞であって、褐色脂肪細胞ではないということがお分かりいただけたかと思います。

ベージュ脂肪細胞ってどこにあるの?

褐色脂肪細胞は、先に赤ちゃんの図で示したとおり、肩甲骨周囲・首・わきの下・腎臓周囲・心臓内膜などに分布しているとされています。

褐色脂肪細胞はある程度の塊で存在するのですが、ベージュ脂肪細胞は小さな豆ほどの大きさで白色脂肪細胞組織の中に散在しているとされています。白色からベージュに変化するのであれば、ごく自然なことといえますね。白色脂肪細胞は、皮下脂肪と内臓脂肪に大きく分けることができますが、ベージュ脂肪細胞は、内臓脂肪よりも皮下脂肪に多いといわれております。

ベージュ脂肪細胞は、白色脂肪細胞組織の中にあるので”brown-in-white” をもじって「ブライト(brite)脂肪細胞」とも呼ばれます。

ベージュ脂肪細胞を増やすには

運動です。

悲しいお知らせかもしれませんが、ハードな運動をすれば、増えますし、たくさん運動をするということは普通に痩せます。つまり、簡単に痩せる方法などでもなんでもなく、ごく当たり前のことでしかないのです。

ただ、従来わからなかった仕組みが解明されつつありますので、いくら運動してもやせない人、体質の問題は、このベージュ脂肪細胞を薬などで増やせるのか?移植できるのか?といった医療の進歩が解決してくれるかもしれません。

肩甲骨ダイエットの嘘

ようやく本題でございます。

Googleで「肩甲骨ダイエット 褐色脂肪細胞」で検索してみました。

検索結果

検索結果1ページ目はこのようになっております。ここまで当ブログ記事をお読みになられた方でしたら、ひどい検索結果だと思われることでしょう。

最近では、いわゆる「まとめサイト」の情報が検索上位にきますが、「体脂肪を減らす“褐色脂肪細胞”を増やす方法」まとめも、このような間違った情報の寄せ集めです。

痩せるために必要であろうとされる脂肪細胞のカラーは、褐色ではなくベージュ色です。

ベージュだって薄い褐色だから、いいじゃないか、という意見もあるかもしれません。ベージュ脂肪細胞と褐色脂肪細胞は、種類が明確に異なります。そして、ベージュ脂肪細胞が肩甲骨付近に多く分布しているというデータはございません。多く分布しているとされるのは褐色脂肪細胞です。

先にご説明しましたが、40代以降の男性では褐色脂肪細胞はほとんど残っておりませんし、女性でも少ないという事実もあります。

さらに、褐色脂肪細胞を、運動で刺激しても活性化するということは確認されておりません。

褐色脂肪細胞は、まだ分かっていないことが多いのですが、生命の危機を感じたときに機能するカラダを守る脂肪細胞であるということは分かっています。

読者の方には、もはや説明不要かもしれませんが、このような誤った情報が蔓延しているのは、これまでの説明中のベージュ脂肪細胞を褐色脂肪細胞に置き換えてみれば分かりますね。

つまり、ベージュ脂肪細胞と褐色脂肪細胞を混同しているために、もっともらしい効果があるように感じられてしまうのです。

一部の専門家が誤った情報を発信しているのも誤解の大きな原因

まず、脂肪には白色と褐色の2種類という定説があったことが大きいです。そして、海外の研究発表が大元なのですが、それが日本語訳された時に誤訳したために、専門家の情報がおかしなことになりました。さらに、その日本の専門家の情報を鵜呑みにして拡散されたわけです。

ただ、本当に単純な間違いなのです。

ネット上の情報発信者が英語論文の本文中の「browner fat」と「Brown fat cell」の解釈を混同したことが原因だと思われます。browner fatは、「より茶色い脂肪」です。これはベージュ脂肪細胞のことなのです。そして「Brown fat cell」は褐色脂肪細胞です。先ほど、ベージュ脂肪細胞が”brown-in-white” をもじってブライト(brite)脂肪細胞とも呼ばれているという点も誤解を招いた可能性もあると思います。ベージュも薄い茶色ですから。

しかし、有名女性向け雑誌、健康雑誌、健康がテーマのテレビ番組、インターネット上の生活お役立ち情報サイト、まとめサイトの多くは、この間違った解釈のまま情報発信しております。もちろん中には正しい情報を発信しているメディアもありますが、比較すると少数と言わざるを得ません。

だったら、肩甲骨ダイエットって意味ないじゃん、と思わないでください。冒頭で申し上げましたように、肩甲骨を動かす運動によって、ボディラインを綺麗にする、姿勢をよくするといった効果はありますし、肩こりの治療においても肩甲骨はとても大切なのです!!これまでの長い文章は、次から述べます肩甲骨によるシェイプアップ効果の解説の長い前振りでございます。

肩甲骨ダイエットにはダイエット効果は無い。

肩甲骨を動かすことによる本当の効果は、ダイエットではなくシェイプアップ効果!肩甲骨ストレッチはすべての方にオススメします。

ダイエットの目的は大きく二つあります。

  1. 体重を減らす
  2. 体のライン(シルエット)を美しくする

まず、肩甲骨を動かすことで体重を減少させることは不可能です。

体重を減少させるのは摂取エネルギーに対して消費エネルギーを増やさなければなりません。肩甲骨をどう操作しても摂取エネルギーを減らすことはで きませんし、消費エネルギーを増やすことはできません。またリンパの流れを良くしてムクミをとったとしても本質的な体重減少にはいたりません。

以上のことから体重減少を目的とした場合、肩甲骨ダイエットではダイエットは不可能といえます。

では体のラインを美しくするという点についてはどうでしょう。

結論からいうとこれは可能です!!

肩甲骨ダイエットは脂肪を減らして体を細くする、いわゆる痩身ではございません。あくまでも体を本来あるべき正しい状態へ戻して、姿勢を良くする、結果的に体のラインがスッキリ見えるようになるということなのです。肩甲骨ダイエットにおいて、ダイエット効果に必要なことは、リンパやムクミ、ゆがみなどではありません。大切なのは筋肉です。筋肉を良好な状態にすることが必要なのです。

肩甲骨は実は特殊な存在。なんと関節なのです。

解剖学上、肩甲骨は肋骨の上に筋肉で貼りつけられている状態です。一般的に、骨と骨の連結部分を関節と言い、肩甲骨と肋骨の同様で、肩甲胸郭関節 (けんこうきょうかくかんせつ)といいます。肩甲胸郭関節は関節の中でも異端児な存在で、通常、関節は靭帯・関節包などいった結合組織という関節の連結を強める組織によってつながれています。しかしながら肩甲胸郭関節にはそのようなものがなく、筋肉のみで連結されているのです。これは人体で最も可動性の高い肩関節の動きに関与するためです。つまり肩甲骨のコンディションは筋肉の状態によって左右されるのです。

話をもどしますね。

現代人はデスクワークや立ち仕事など同一姿勢を続ける事が多いです。長時間同一姿勢を続ける事は非常に疲れるため、楽な姿勢、力を抜いた姿勢を続 けるようになります。するといわゆる丸まった姿勢=猫背の姿勢になります。また、横から見ると背中は伸びていても、肩が丸まっている方が多いです。このような方が肩甲骨ダイエット(体のシルエットを美しくする)の対象となります。

猫背は、肩甲骨が外側に移動してしまっていることが原因です。

猫背の姿勢や背すじがのびても肩が前に入っている姿勢ですと、どんなに体重が軽くても、横から見たら細くても、正面や後方から見た姿が横に膨張して見えてしまします。肩幅が広く、背中が丸く、首が短く、二の腕が太く見えてしまいます。これは肩甲骨が外側に移動(外転)してしまっているからです。

このような状態 ↓↓↓

肩甲骨シェイプアップ1

この原因は

  1. 肩甲骨を外側に引っ張る(外転)作用のある筋肉が緊張してしまっている(大胸筋・僧帽筋上部線維・広背筋・大円筋・前鋸筋・上腕二頭筋・上腕三 頭筋長頭・烏口腕筋など)
  2. 肩甲骨を内側に寄せる(内転)作用のある筋肉が弱体化してしまっている(僧帽筋中部線維・僧帽筋下部線維・菱形筋など)

の二つがあげられます。(厳密には首・腰・股関節の状態も影響しますがここでは話が複雑になるので割愛させていただきます。)

このように例をあげると、あきらかに肩甲骨を外側に引っ張る作用のある筋肉がそもそも多いのです。ですので、何も意識せずに脱力した姿勢で生活している と知らず知らずのうちに丸まっていってしまうのもうなずけます。

外転してしまっている肩甲骨をどうすれば良いのでしょうか?

逆にする、つまり、内転している状態にすれば良いのです。

このような状態 ↓↓↓

肩甲骨シェイプアップ2

この記事をご覧になった方は今すぐにこの画像のように肩甲骨を、背骨を中心に寄せるように力をいれてみてください。

・・・きっとすぐに疲れてしまうと思います。(きちんと対処方をご紹介しますのでまだあきらめないでください!!)

すぐに疲れてしまうのは、まだ外に引っ張る力が解除されていないためです。ここで「緊張を解除するためには治療にきてください」というつまらない落ちではございません。きちんと効果的なセルフケア方法をご紹介いたします。

肩甲骨の緊張を解消する肩こり研究所オリジナル肩甲骨ストレッチの解説動画をYouTubeで公開しましたのでご覧ください。

 肩こり専門治療院のストレッチ

※ブログ記事でも紹介しています→[セルフケアブログと同じストレッチ方法

この肩甲骨ストレッチを行ったあと、上記画像のように肩甲骨を内側に寄せてみましょう。きっと変化を実感していただけるはずです!!エクササイズとして行う場合は、ストレッチを行って柔らかくなってから、肩甲骨寄せ運動を30秒×2セット目安に行ってみてください。ストレッチと合わせてトータ ル2分で完結です。

夏に向けて、体のラインは気になるけどハードな食事制限や運動までは行う気力が起きない方にオススメです。驚くほどの効果が実感できるわけではございませんが、簡単かつ、それなりの効果が期待できます。是非、朝・昼休み・夜の一日3回、夏までの1ヶ月間の日課にしてみてください。(簡単かつ確実な効果のダイエットということであれば美容医療という選択肢があります。根本的に細くしたい、脂肪そのものを取りたいという事あれば最も効果が期待できる選択肢であるといえます。)

もしかすると、体のラインが美しくなるだけではなく、肩こりも治ってしまうかもしれません(^^)

肩甲骨を動かしたくても動かせないひどい肩こりの方は「肩甲骨はがし」が効果的です。

重症の肩こり・肩甲骨こりの方の中には硬くなりすぎて動かしたくても動かせない方もいらっしゃいます。そればかりか、動かしているのかそうでないのか、コリすぎてその部分の感覚すらない方が実際にはいらっしゃいます。

このような方々に特にお勧めなのが「肩甲骨はがし」です。巷でも流行っておりますので、ご存じの方も多いと思いますが、肩甲骨と背中の間に指をいれてグイッと引き上げて肩甲骨の内側の筋肉を刺激する技です。

肩甲骨はがし

肩甲骨と肋骨の連結部分を解剖学用語では肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)といいます。そう、あまり実感がわきませんが「関節」なのです。ここで注目なのが、この肩甲胸郭関節は人体の中でも異端児な存在という点です。通常関節は関節包(関節を包む袋)や靭帯(関節を連結するヒモ)で連結を強めています。それに加えて筋肉があって関節を作り上げています。肩や膝、股関節などみなさんがご想像できるほぼすべての関節がこのような構造となっています。しかし、肩甲胸郭関節だけは、筋肉のみで連結されているのです。つまり、他の補助が無い分、筋肉はとても大きな負担を強いられる事となります。だから肩甲骨周囲の筋肉は疲労しやすく、硬くなりやすいのです。

一般的には肩甲骨の内側の筋肉、僧帽筋(そうぼうきん)・菱形筋(りょうけいきん)・脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)などが硬くなり症状を自覚する場合が多いです。肩甲骨はがしを行うと、その部分に手を当てて引き伸ばすため、指圧とストレッチが合わさり、とても心地良く、直後はすっきりした感じがします。ただし、多くの場合がすぐに元通りとなります。その理由は、該当する筋肉に対する負担が解消されていないからです。つまり、肩甲骨がこる方の大きな特徴として肩甲骨が外転してしまっているという事があげられます。

このような状態 ↓↓↓

肩甲骨シェイプアップ1

つまり、肩甲骨の内側にコリを感じるのは、肩甲骨を外側に引っ張る(外転させる)筋肉が硬くなってしまっており、それにより内側の筋肉(僧帽筋・菱形筋など)が引き伸ばされてしまうからなのです。

そのため、「肩甲骨はがし」といういかにも特殊な技のように感じますが、それだけを行うようであれば、コッっている部分をひたすら揉んで心地よいというリラクセーションと大差はないのです。

肩甲骨はがしだけでは、ただのリラクセーション。コリを治すためには+αが必要です。

もうお察しの方もいらっしゃるかと思います。

肩甲骨はがしと同時に肩甲骨の外転作用のある筋肉をほぐせば良いのです。

ここまで行って初めて肩甲骨コリの治療となります。

当院でも肩甲骨はがしは治療の中でしばしば行いますが、同時に外転作用のある筋肉に対する処置を行うことは鉄則としております。加えて、通常の肩甲骨はがしにさらに特殊な技を加えることで、従来の肩甲骨はがしで届かなかった部分の筋肉を弛めることを可能としております。

つらい部分をひたすらマッサージすれば、その時は楽になるかもしれませんが、おそらく楽なのはその時のみですぐに元通りとなります。そしてまたマッサージを受けて・・・とこの繰り返しを余儀なくされていらっしゃる方は多いと思います。この繰り返しを変えるには、やはり原因を解消することに尽きるのです。ある部分がきまっていつもつらくなるのであれば、そこに負担をかけている原因があるはずです。その原因を生むさらに原因もあるはずです。こういった原因を追究して解消することではじめて「施術を受けてもすぐに元通り」という悪循環を断ち切ることができるのです。(根本原因を「骨のゆがみ」とする場合は「治らない」と宣言していると同義となります。)

今通われている治療院、今後通われる治療院の良し悪しを見極めるポイント

肩甲骨はがしは確かに気持ち良いですし、直後は楽になります。しかしそれがリラクセーションなのか治療なのかは別問題なので、それは患者さんが見極めなければなりません。

せっかくお金と時間をかけているわけですし、何より治したいという気持ちに沿った治療院でないと救われません。

見極めるポイントは「“肩甲骨をはがす事”が目的となっているのか否か」という点です。 そして次のようにお尋ねください。

「肩甲骨はがしを行っていても治らないとネットで見たのですが本当ですか?」

この質問に対して、「そんなことはありません。治ります。」という返答でしたら、肩甲骨はがしが目的となっているということです。その場合は高確率でリラクセーションの場合が多いです。(上記でご説明しましたように、肩甲骨の内側がるつらくなる原因を解消しなければ治療をうたっていたとしてもこれでは治る見込みはないからです)

きちんと治すための治療を行っている所であれば、上記でご説明させていただきました一連のメカニズムと相違のない内容をきちんと解説してくれるはずです。理解できない専門用語だけ並べられて難解な説明をされたのでしたら、今後も通うべきか否かを判断する一つの材料になると思います。

「肩甲骨はがし」は確かに気持ち良いのですが、行い続ければ治るというわけではなく、あくまで治療におけるひとつの手技でしかないのです。

今回の記事は、お役に立ちましたでしょうか?

もし当記事が、少しでもあなたのお役に立てたようでしたら、他の方にシェア頂ければ幸いです。

by
katakoriLabs

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です