鎖骨をつまむだけで肩コリ解消?

鎖骨をつまむだけで肩こり解消?|肩コリ専門院による身体のQ&A - 肩コリラボ

僧帽筋の場所
鎖骨と肩コリの関係性を詳しく解説していきます

鎖骨をつまむと肩コリに効くって聞いたのですが、本当ですか?

はい。結論からいいますと本当です。正確には鎖骨そのものではなく鎖骨周辺をつまんだりマッサージが効果的です。

鎖骨へのアプローチで期待できる効果は2つあります。1つ目は、今のつらい症状を緩和する効果。2つ目は、姿勢を改善して首や肩の負担を減らす効果。とにかくつらいから何とかしてほしい場合の対症療法だけでなく姿勢の改善といった原因療法にも有効ですので首や肩の不調と鎖骨へのアプローチは切っても切れない関係にあります。ですから当院の肩コリ治療でも鎖骨へのアプローチは基本的な施術として行っています。

鎖骨は見た目ではなく、その機能性にも注目してほしい!

きっと多くの方が、毎朝・毎晩鏡で自身の鎖骨を目にしているはずです。ですが、鎖骨の見た目を意識することはあっても、意識して動かしている方はほとんどいらっしゃらないと思います。

鎖骨ってどんな骨?

人間の骨の中で唯一水平に位置しています。ゆるいS字カーブをもつ棒状の形をした長骨です。人間が腕を自由に動かせるのは鎖骨のおかげです。四足歩行の動物には鎖骨はありません。人が体を動かす際にとても重要な骨ですが、人体の骨の中でもっとも折れやすい骨でもあります。そんな鎖骨を「肩コリ」の面から掘り下げていきます。この記事を読んで、鎖骨を意識して動かしたくなってもらえたら幸いです。

なんで鎖骨をつまむと肩が楽になるの?

鎖骨ほぐしは肩コリへの対症療法としてなぜ効果的なのか?その理由を解剖学に則り解説していきます。

肩コリと鎖骨ほぐしを繋ぐカギは「僧帽筋」

僧帽筋(そうぼうきん、英語: trapezius)は、肩コリにお悩みの方でしたら、きっと一度くらいは耳にしたりテレビ番組でご覧になられたことがあると思います。

僧帽筋とは頭の後ろの頚椎の中央からはじまり、首・肩・背中を広範囲に覆っている筋肉です。

僧帽筋の場所
※オレンジ色部分が僧帽筋です

この僧帽筋の過緊張や筋膜異常が、肩コリのつらい症状を引き起こしている大きな要因です。

僧帽筋は背中にありますが「鎖骨」と繋がっています

首や肩のつらい症状は背中側です。僧帽筋も背中の上半分近くを覆っている筋肉ですが、なんと鎖骨と繋がっているのです。

僧帽筋と鎖骨
鎖骨と僧帽筋は繋がっています

鎖骨は脂肪がつくと見えにくくなる、痩せている人は鎖骨が綺麗といったイメージをきっとお持ちだと思います。ですから筋肉のイメージがない方がほとんどでしょう。

実際は上の画像のように僧帽筋とくっついているのです。

つまり鎖骨をつまむと僧帽筋に影響します。

僧帽筋への影響を考えて上手に鎖骨をつまむ・鎖骨周辺をほぐすことで、肩コリの症状に効果がでるのです。これは直接背中側からアプローチするよりも鎖骨からアプローチしたほうが効果的なケースがあり、鎖骨側だけが全てではございません。

もう少し具体的に詳しく説明します。

僧帽筋は、首・肩・背中といった広いエリアを覆う大きな筋肉です。僧帽筋はひとつではなく、解剖学的には上部、中部、下部の3つのパートにわかれていて、それぞれ異なった役割があります。鎖骨と関係が深いのは上部の僧帽筋です。

僧帽筋の場所
つらいのは上部の僧帽筋

一般的につらい肩コリは首から肩の関節に向かってのラインです。このラインがまさに僧帽筋の上部にあたります。僧帽筋の上部は、後頭部や頚椎の中央部分からはじまり、鎖骨(正確には、鎖骨の外側1/3の後縁)に至ります。

ストレッチでほぐれる理由・ほぐれない理由

僧帽筋と鎖骨の関係を語る上で、なぜ、ストレッチをするとコリがほぐれるのか?この理由を簡単に知っておく必要があります。

筋肉は骨とくっついています。くっついている箇所を「付着部」といいます。付着部には、筋膜や腱といった組織があり、筋肉と骨を結びつけています。この付着部には刺激を感知する受容体や神経といった様々なセンサーが密に分布しています。みなさんにとってお馴染みのストレッチですがそのセンサーを上手く利用するのがストレッチの本質です。

ストレッチは可動域改善の代表的手法。ひとことでストレッチといっても様々で、反動をつけずにゆっくりと筋肉を引き伸ばす「静的ストレッチ」の場合、付着部付近に存在するゴルジ腱器官というセンサーに刺激を与え、その反射で筋肉の弛みを誘導して可動域を広げます。

おそらく多くの方がストレッチを物理的な手段・自分でできる・誰でもできる簡単な方法と思われているはずです。

本当に効果のあるストレッチ・プロが人に対して行うストレッチというのは、神経系に働きかけて筋緊張をコントロールするのです。

軽いコリでしたら物理的なほぐしで十分ですが、ひどい緊張状態にある強張った筋肉に対しては物理的なほぐしが通用しないことが多いのです。

緊張が生じている部分を物理的にほぐすだけでなく、解剖学的な筋肉の走行と付着部、そして筋肉を支配する神経の機能を意識した対処が必要なのです。

僧帽筋上部の過緊張を解く鍵が鎖骨

僧帽筋上部の過緊張を改善したい場合、ダイレクトに問題の筋繊維や筋膜へのアプローチはもちろん必要ですが、僧帽筋の付着部である鎖骨へのアプローチが効果を発揮します。僧帽筋の付着部は鎖骨だけではありません。後頭部や頚椎の際にもございます。ですので首や頭へのアプローチは普通に行われています。首や頭と同じように鎖骨が大切なのです。

鎖骨をつまむと僧帽筋は緩む・肩コリ解消に効果的というのは正確には鎖骨だけではなく後頭部や頚椎の際といった僧帽筋の付着部へのアプローチが肩コリ症状に効果的ということなのです。

首こりと鎖骨ほぐしの関連性

肩コリだけでなく首コリに鎖骨ほぐしの効果はあるの?という方もいらっしゃると思います。もちろん効果あります。

実は鎖骨には、僧帽筋以外にも首や肩の凝りに関係のある筋肉が付着します。

胸鎖乳突筋です。きょうさにゅうとつきんと読みます。

胸鎖乳突筋は、首の横から前に走行する筋肉です。名前の由来は、胸骨・鎖骨から側頭骨の乳様突起を結んでいることからです。いわゆるつらい首筋の痛み・コリは、まさにこの胸鎖乳突筋のトラブルであることが多いです。

僧帽筋と鎖骨
胸と鎖骨と頭を繋ぐ胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋は、下を向く時、顎を引く時、首をかしげる時、歯を食いしばる時にはたらく筋肉です。猫背で丸まってパソコン作業をしている時や、下を向いてスマホ操作をしている時は、自覚はなくとも胸鎖乳突筋は過緊張状態となってしまっていることが少なくありません。

コリだけでなく息苦しさや喉の違和感といった症状を引き起こす胸鎖乳突筋の過緊張

一般的な首こりは、首の後面に症状が出ますが、中には首の横や前につらさを自覚される方がいらっしゃいます。このようなタイプの首こりの方は、凝りだけでなく、息苦しさや喉の違和感などを自覚する傾向があり、お悩み度が高い方が多いです。このような一見イレギュラーパターンと思われる首こりの方が当院にはたくさん来院されるのですが、1つ共通点があるのです。胸鎖乳突筋が過緊張状態に陥ってしまっているのです。

首の前をほぐすと後ろが楽になる?

一方、首の後ろに症状がある場合は胸鎖乳突筋が緊張していないかというとそうではありません。首の後ろ側がつらくて、つらい箇所をいくらほぐしても楽にならない時、胸鎖乳突筋をほぐすことで急激に後面の症状が軽減するということは多々あります。

首の前側にある胸鎖乳突筋をほぐすと首の後ろ側が楽になるのです。

これは不思議なことではなく解剖学的には理にかなっています。

後頭部の胸鎖乳突筋の付着部と僧帽筋の付着部は筋膜でつながっているのです。

ですから鎖骨をつまむことで、胸鎖乳突筋をほぐすことになり、結果首こりの症状緩和につながります。

この胸鎖乳突筋は、首の前や横はもちろん、一般的な後ろ側のコリ解消においてもとっても重要なポイントです。

胸鎖乳突筋以外の鎖骨との関連性が高い筋肉

首の横や前には胸鎖乳突筋以外にも、首肩凝りに関与するたくさんの筋肉があります。

たとえば、広頚筋、斜角筋、肩甲挙筋、舌骨下筋群、舌骨上筋群などがあります。

なかでも鎖骨の関連性が高い、広頚筋に着目してみましょう。

広頚筋
鎖骨と関連性の高い広頚筋

広頚筋は、首の前面の最表層で、名前通り下顎か胸にかけて薄く広がる筋肉です。

多くの方が気にされている猫背ですが、慢性的な猫背状態ですと、この広頚筋が緊張状態になります。広頚筋が緊張状態になると、凝りの症状に加えて、フェイスラインがぼやける、二重アゴにみえる、首の横シワができる、などといった見た目上の問題が生じます。

上の画像のように広頚筋は鎖骨を覆っています。つまり鎖骨をつまむと広頚筋も同時につまむことになります。

鎖骨をつまむことで、広頚筋をほぐすことができますので、首肩コリの改善のための鎖骨へのアプローチは美的な要素の改善にもつながるのです。

鎖骨への意識変わってきましたか?

肩コリに効く鎖骨つまみは一時的なもの?それとも根本的な改善につながる?

対症療法として鎖骨へのアプローチが首や肩のコリに対して効果的であることはご理解いただけたかと思います。

慢性的な首肩コリでお悩みの方は、対症療法だけではどうしようもない状態にあります。対症療法ではなく原因療法として、鎖骨へのアプローチは意味あるのか?という点について解説させてください。

姿勢が悪いのは結果でもあり原因でもある

まず、首こりや肩コリの原因は様々ですが、多くの方に共通しいるのは不良姿勢です。

良い姿勢に絶対的なものはありません。時と場合によって変わります。

首肩コリの観点からの「良い姿勢」の条件は、頭の重みをいかに首や肩の筋肉に負担をかけずに支えることができるかどうか?負担を軽ければ軽いほど良い姿勢です。

ですから、首肩コリを改善・予防における「良い姿勢」とは、「首や肩の筋肉への負担が最小となる姿勢」です。

具体的には、頭が体の重心線上にあって、筋肉をあまり使わなくてもバランスがとれている状態です。猫背がいけないのは、頭が体の重心線上になく頭を支えるために首肩に大きな負担をかけているためです。

姿勢と鎖骨の関係

そんな不良姿勢と鎖骨の関係性をみてみましょう。

上述しましたように、胸鎖乳突筋は、下を向く、顎を引く、首をかしげる、歯を食いしばるなどの動きに関与します。日常生活で何気なく行っている首や顎の動きと密接な関係があります。そのため日々の動作のなかで、胸鎖乳突筋は負担を受けやすいのです。

胸鎖乳突筋が緊張してしまうと頭を前に傾けてしまいます。横からみて頭が前方へ突き出た姿勢です。頭が前方にあると、僧帽筋をはじめとした首や肩の後面にある筋肉が、頭を支えるために頑張らなければなりません。この状態が続くことで、首や肩の筋肉に凝りが生じます。このような流れから、胸鎖乳突筋の過緊張は凝りを招く元ともいえます。

胸鎖乳突筋をほぐすことによって頭の位置が改善すれば、首や肩にかかる負担そのものが減少しますので、鎖骨つまみは原因療法としての意義もあるのです。

鎖骨を語る上でどうしても外せない肩甲骨

もう一つ、鎖骨を語る上でどうしても外せないのが、肩甲骨との関連性です。肩甲骨は背中にある左右一対の骨ですが、この肩甲骨、骨格という観点でみると、胴体部分と鎖骨のみで連結しています。

僧帽筋と鎖骨
緑色部分が肩甲骨です。肩関節付近で鎖骨と連結しています。

肩甲骨と上腕骨(腕の骨)の連結部分が肩関節ですので、鎖骨は「上肢と体幹を結びつける唯一の骨」なのです。

その鎖骨ですが、上肢を動かす「機能」として重要なはたらきを担っています。鎖骨は、胴体と肩甲骨を連結させているパーツなので、鎖骨の両端は、胴体と鎖骨の間、鎖骨と肩甲骨の間で関節になっています。

胴体と鎖骨の連結部分を胸鎖関節(胸骨と鎖骨の連結)、鎖骨と肩甲骨の連結部分を肩鎖関節といいます。

実は、胸鎖関節と肩鎖関節の二つの関節の動きの和が、肩甲骨の動きとなるのです。

上肢の動き、つまり肩や肘の動きには肩甲骨の動きが密接に関わります。

たとえば肩関節ですと、天井に向かって真上にバンザイ(180°挙上)をした時、厳密には動作方向によって若干異なりますが、総じて180°の1/3となる約60°は肩甲骨による動きであるのが正常とされています。肩甲骨がきちんと動かない状態ですと、他の関節に負担がいき、それが繰り返されることで炎症や痛みにつながってしまいます。

肩甲骨をきちんと動かせるようにするために鎖骨を意識してほしい

肩甲骨の動きを改善する手段として代表的なのは肩甲骨はがしです。

ご存知、肩甲骨はがしは、肩甲骨に付着する筋肉をほぐすのに効果的です。剥がすのではなくほぐすのです。剥がれたら大変です。肩甲骨はがしで肩甲骨の動きは改善できますが、鎖骨にもアプローチすることでさらなる改善を目指すことができます。

鎖骨がきちんと動くということは、胸鎖関節と肩鎖関節が正しく機能している証拠です。つまり肩甲骨は正常に動きます。筋肉をほぐしても、実際に動く関節部分が動かなければ、肩甲骨はスムーズに動きません。肩甲骨の動きを改善するためには鎖骨の動きも改善することが大切です。

肩甲骨は体の後ろ側、鎖骨は前側にありますので、まさか肩甲骨の動きを改善するために鎖骨が重要とは思いませんよね。女性でしたらデコルテをキレイにみせるために鎖骨を意識されている方は多いかもしれませんが、日頃、ほとんどの方は「鎖骨の動き」を意識されていないと思います。

これからはぜひ、鎖骨・鎖骨の動きを意識してください。

肩関節の痛みや可動域制限がある方は肩甲骨の動きを改善することが大切です。その肩甲骨の動き改善のために、鎖骨にも着目してみましょう。肩関節に不調がなくても、肩甲骨の動きがぎこちないなと感じた場合、鎖骨を意識して対処するのがオススメです。

丸山太地

丸山太地

katakori LABS Inc.
ACUPUNCTURIST MASSAGE THERAPIST NSCA-CSCS

日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。平成18年に卒業後、東京医療専門学校にて国家資格を取得し、平成21年に卒業。さらなる知識と技術向上のために上海中医薬大学への短期留学し、解剖学実習修了。帰国後、人体の構造を徹底的に理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室における人体解剖を通して学び、解剖学実習修了。医学的根拠を第一とし、トレーナー活動と並行し東京銀座の治療院に勤務。2012年に独立し、2014年に株式会社肩こり研究所を起業、2015年に東京都目黒区の学芸大学駅前に鍼灸・マッサージ院「肩コリラボ」を開設。

  • 鍼灸師(厚生労働大臣免許)
  • あん摩指圧マッサージ師(厚生労働大臣免許)
  • NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)
  • 日本体育協会認定 スポーツリーダー
  • 中学・高校保健体育教員免許
  • パワープレート認定トレーナー

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